『「違うこと」をしないこと』よしもとばなな著。肉が食いてぇ!を大事に。




ちゃんと働いているし人間関係も問題ない。だけど「なにか違う」感じがすることはないでしょうか。

友人のそんな言葉に、なにかヒントを与えられればと思って手に取ったのが本書。




「違うこと」をしないこと

本書は「アムリタ」や「キッチン」で有名な、よしもとばなな氏の著作。

小説ではなく主に対談を収めたもので、対談の相手は宇宙マッサージの専門家やサイキッカーなど、ちょっとスピリチュアルな方々。正直、うさんくさいと思ってしまい購入を戸惑ったのは事実。

身体はいつも正直

身体は正直というとなんだか卑猥な感じもするけれど、「なにか違う」という違和感は放置しておくと、どんどん自分の望む方向とは違うところへと離れて行ってしまう。

「いま何が食べたいか」のような小さなことでもよいから自分の直感と欲望にちゃんと向き合うことで「違うこと」を避けることができると本書は説く。

肉が食いてぇ!と思ったのならば、細々した事情はおいておいて食べてしまえばいいのだ。

そして、「なにか違う」という違和感はそれを無視することで状態を悪化させていく。

人は順応する生き物だから「なにか違う」状況にも慣れてしまう。しかし、その状態が行き過ぎてはじめて身体が「これは違う」と悲鳴を上げはじめるのだ。

一人インタビューの効用

「なにか違う」と感じたら、自分で自分にインタビューをすればよいと対談者は語る。

一般的に、インタビューは時間が限定されている。そしてインタビューの相手のためにも質問に答えないという選択肢はありえない。なにかしらの答えを出すことが要求される。

これを自分に向けて行えば、自分は自分のためにもなんらかの答えを出すことができると。

答えは正しい必要はない。間違っていたら修正すればいいのだ。問題は答えすら出さないで押し黙るということ。自分を閉じ込めるということ。

価値観は行動で作られる

実は行動は価値観に基づいてとられるものではない。

自分の出した答えに基づいて行動を繰り返す。その結果として価値観は作られる。

認知的不協和によって、自分の行動を正当化するために価値観が作られるとも考えられるが、たしかに、自分のとった行動を否定すれば、それが自分にとって間違いと思える行動だったという価値観を浮き彫りにできるのも事実。

自己欺瞞や認知的不協和を意識してさえいれば、行動は揺るぎない価値観を作る糧になるのだろう。

初期設定を忘れがちな自分

対談者はPCに例えて「違うことをしている」人は初期設定を誤っているのではと言う。

初期設定を間違えれば入力後のアウトプットも間違える。逆に言えば初期設定さえ間違えなければ適切な入力とアウトプットができる。

要するに自分の目的や価値観をはっきりさせておきましょうという話なのだと僕は理解した。

引き寄せの法則にも似ているが、たしかに自分の目的地が分からなければ道に迷うのは当然だ。

時間は未来から過去へ流れていくもの

人は過去の経験に学び行動を決定していくが、そうではなく未来のために現在の行動を決めたらよいと、ばなな氏は言う。

まったくもってそのとおりで、実現したい未来があれば現実の行動は自動的に決まるもの。

「違うこと」をしないこと まとめ

全体としてサイキックや宇宙、霊などスピリチュアルな内容だけれども、言っていることは至極まとも。

自分の心に正直に、小さなこともおろそかにしないで未来に向けて行動しましょうという話し。

ご存知かと思うが、よしもとばなな氏は思想家の吉本隆明氏のご息女である。相当の思索と経験のうえに出された結論なのだろうと推測する。

本書を友人に伝えるかどうかは保留中だが、僕自身よしもとばなな氏のように軽やかに泥臭く生きていきたいものだと思う。




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