『ブレイン・プログラミング』アラン・ピーズ&バーバラ・ピーズ著。このままでは、このままです。







『ブレイン・プログラミング』アラン・ピーズ&バーバラ・ピーズ著。このままでは、このままです。

いつものやり方を続けていれば、これまでと同じものしか手に入らない。

「話を聞かない男 地図が読めない女」の著書による自己啓発書。
主張はいたってシンプルで、自分のやりたいことを明確化しなさいということに尽きる。

そして、そのやり方や注意点が詳細に綴られていく。
まず、やりたいことを明確化させるにあたっては、必ず紙に書き出すことと繰り返し説かれる。

その理由は手と頭を使って自分の言いたいことを身体に(脳に)覚えさせることができるから。
PCを使用したタイピングでは効果が薄いとのことである。

やりたいこと=目標がはっきりしたならば、後は脳が自動的にそれを実現するための情報を周囲から拾ってくるので、そこに目標実現の機会を見出したならばすぐに行動に移せと続く。
自動的に情報を拾うようになるというのは、紙に書き出したことで無意識に情報を拾うアンテナが立つということが論拠になる。

これはたしかに心理学的にもカクテルパーティー効果として知られているし、日本でも辻占という占いが古くからある。
俺自身、何かモヤモヤすることがあると街中の喫茶店でコーヒーを飲みながら周囲の雑談に自分の言いたいことを代弁させるというようなことは昔からしていたので頷ける。

行動に移した後の注意点として、自分で決めたことは周囲がなんと言おうと実行しろと強弁する。
それで失敗したとしても、失敗から学ぶことは多いと。

また、パレートの法則を持ち出して、何かをした時には80%は成果が出ないものなのだから失敗前提で気楽に行くことを奨める。
さらに、何かを実行したときの成功率はある程度数字で測ることができるのだから、成功率に基づいた十分な試行回数さえ確保できれば、いずれ成功するものだと説く。

若い頃に有能な営業マンだった著者ならではの説得力がある。
マーケティングの視点で考えればコンバージョン率で数値の予測を行って、アプローチの目標値を決めるのは当然なのに、こと人間関係に限ると、ひとは断られることに臆病になってしまうが、それは本能であるから仕方ない。

断られたところで何も実害はないのだから、どんどんアプローチ数を稼いだほうが懸命だと。

感想

全体をとおして、自己啓発書にありがちなスピリチュアルな要素はほとんどなく、他の実用書などで示される科学的根拠も適度に盛り込まれており、非常に説得力が高い。
また、本投稿で言及していない注意点や主張について、村上春樹や森博嗣のエッセイなどで同様の主張を読んだことがあることも個人的に説得力を高めた一因。

個人的に、さっそくノートを開いて目標リストを作ってみたが、4つしか書けなかった。
いかに自分の内から湧き出る欲求を無視して生活していたのか、それに気づけただけでも本書を手に取った価値があった。

自己啓発書は嫌いだが、これは良書と言って良いと思う。




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