新卒社会人はクリティカルシンキングやらロジカルシンキングなど思考法について叩き込まれるものですが、いろいろと分厚い本を読むのは大変です。
意外と分厚いビジネス書よりも薄い哲学書のほうが得るものが多いかもしれませんよ。
目次
ビジネスマンこそ哲学書を読め!『方法序説』デカルト著。
方法序説の「方法」は考える方法
ビジネス書のキャッチ―なタイトルとは真逆で「方法序説」はなんの方法の序説なのかすらタイトルに書かれていませんが、その内容は思考方法の序説です。
あえて現代風にタイトルを直すなら、そのまんま「ロジカルシンキング入門」にでもなるのではないでしょうか。
著者のルネ・デカルトは哲学者
デカルトは哲学者でありながら数学者でもあります。これだけでその理論に破綻がなさそうなことが期待できます。
数学も哲学も実態のない問題を相手に頭だけで戦っていく学問です。何かを考えるときにどうやって自分の頭だけでやっていけばいいのかをデカルトは本書で教えてくれます。
問題はできるだけ小さく分割していく
デカルトはなにかを考える際に問題を可能な限り小さく分割していくことが大切だと説きます。
これはビジネスマンにはおなじみのワークブレイクダウンストラクチャーにも通じますし、あるいは分割された問題に漏れや抜けがないようにという点ではMECEのことでもあります。
分割した問題につながりを作っていく
そして、分割した問題の間になんらかの関係性を見出していくことが次のステップです。
ここで無理やりにでもなんらかの関係性を想定していくことが大切とデカルトは言います。
カテゴライズや階層化など手段はいくらでもあります。
どうしてよいか分からない時も進み続けることが大切
はたして自分は正しく考えられているのだろうかという迷いがあっても足を止めてはいけないとデカルトは言います。霧に包まれた森の中に迷ったときにたとえて、それでも歩みをとめなければどこかにはたどり着くはずだと。
つまり、間違っているかもしれないと思いながらも考えることをやめなければ、少なくとも、いつか間違っているということは分かるということです。
なにもしなければ、すべてが分からないままなので、これは明らかな進歩です。このようなトライ&エラーを重ねて可能性をひとつずつ潰していく考え方は今でも実証研究のベースになっているのではないでしょうか。
でも、最終的に神の話になってくる
途中まではロジカルで納得できる話なのですが、方法序説後半では論調の中にちょいちょい神が出てきます。
まぁ、神は存在するのかどうかを思索だけで証明しようとしたのがデカルトなので当然なのですが、ロジカルシンキングの習得を目当てに読む場合には、この辺りは興味本位だけで目を通せば十分かもしれません。
デカルトの数学者としての功績もすごい
ちなみに、ビジネスフレームワークでよく出てくるマトリックスも元をたどるとデカルトが発明しています。
X軸とY軸にポイントを打つというフレームは解析幾何学などではデカルト平面やデカルト座標などと呼ばれます。
フレームワークを使ってモノを考えている人は、実は300年近く昔の道具を使っていると考えると、なんだかスタイリッシュな雰囲気も台無しですね。
ビジネスマンこそ哲学書を読め!『方法序説』デカルト著。まとめ
デカルトの方法序説は17世紀の著作ですが、その内容はMECE,ワークブレイクダウンストラクチャー、仮説検証など現代のビジネス書に書かれていることが網羅されています。
300年近く前に考え出された思考法が現代でも通用しているなんて、デカルトが凄いのか人類の進歩が遅いのか……。
いずれにしろ、デカルトの方法序説は薄い本なので、分厚いビジネス書を読むには忙しいビジネスマンには意外と向いているのではと思います。(字は小さくてみっちり詰まってますが。。。)