『モチベーション革命』藤原和啓 著。足りないことが足りない世代。







『モチベーション革命』藤原和啓 著。足りないことが足りない世代。

モチベーションを引き出すための書籍、ではない。
高度経済成長期を経験した世代は、失われた豊かさを獲得しつづけるという上昇志向を元にモチベーションを保っているが、一方でそれ以降の若い世代は生まれながらに豊かさを享受しているために、欠乏感を元にした欲望がない。

では若者は何を求めれば良いのか。
好きなこと、もっと言えば偏愛していることを突き詰めなさいと語られる。

それぞれがエッジの効いた存在となってSNSで緩く繋がりながら自由にすれば、それが様々な価値を生み出す。
そして偏愛的な嗜好性はAIにとって代わられることのない人間ならではの強みになると。

なるほどと納得させられる内容だった。
なかでも、AIについての現状と今後の見通しなどが興味深かった。

Uberが、自動運転技術の進歩を見越したサービスなのではないかといった見解はなかった。
少し考えれば分かりそうなものなのに、考えもしなかった。

ただ、AIなどと騒がれているものの自分の生活圏内で果たしてどの程度の影響があるものなのかについては俺は懐疑的だ。
数年前からビッグデータを活用するなどと掲げている事業所でさえ、そもそもの基礎データの蓄積がなかったり、データがあってもBIに取り込むには複雑なデータ整形が必要であったりして、遅々として活用が進まないというのが実情だ。

ビッグデータもAIも働き方改革も、言葉のみが踊っていて、直接的に影響があるのは結局一部の企業のみなのではないか。

少し前に、農林水産省の働き方改革で文書作成ソフトがMicrosoftWordに統一されるという話題が笑い話になっていたが、中小零細企業を経験してきた俺からすると、笑えない冗談にしか聞こえない。
ビクトリノックスで木を削って家を建てるような腕利きの職人を探しているのなら、従業員50~100人程度の企業を当たるといい。すぐに見つかると思う。




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