やる気が出ないときはどうすればいいのか。そもそもやる気は必要なのか。




どうしてもやる気が出ないという時に、どうすればやる気が出せるのだろうかと悩む人は多いだろう。

だが、どうやってやる気を出せばいいのだろうか。そもそも、やる気なんて本当に必要なのだろうか。




やる気が出ないときはどうすればいいのか。そもそもやる気は必要なのか。

やる気はやっているうちに出てくる、というアドバイスの無意味さ

やる気が出なくとも、実際に手や体を動かしているうちになんだかノッてくるというのは正しい。当初のやる気の有無に関わらず、作業興奮によって無心になれるのは確かにそのとおり。

だが、「やる気が出ない」という状況というのは、その「実際に手や体を動かす」ほどのやる気も出ないから困っているのだ。

そこに与えられる「やる気が出てきてからやるんじゃなくて、とりあえずやってしまえばいい」というアドバイスほど無意味なものもないだろう。

やる気が出ないといって困っている人は、「やる気を出す方法」または「やる気の有無に関わらずやり始めるやり方」を知りたいのだ。「つべこべ言わずに、とりあえずやれ」なんてのはアドバイスでもなんでもない。

やる気を出す方法は想像力と危機感

まずは「やる気を出してから行動に移す」テクニックを紹介しよう。

やる気を出すコツはネガティブな思考とポジティブな想像を組み合わせること。どちらか一方ではやる気は出ない。

ネガティブ思考の場合、やる気がでないのは恐怖のせいだろう。何かを始めることで予想される不都合な現実や障害、ストレスなどを恐れて行動を起こせなくなってしまうのだ。より現実的にリスクとリターンを計算できる聡明な人ほど、仮に行動を起こしたとしても望んだ結果が出ずに徒労と終わることを恐れてしまう傾向がある。

不確定な状況は楽観側に倒す

しかし、このタイプの人は、実は行動しないことのリスクを計算に入れていない場合がある。

不確定な未来に対するときは楽観側に倒すという原則がある。

もし行動した場合には当然失敗にともなう損失がある。しかしその失敗の損失は有限であり、失敗した時点で損失は確定する。(命を落とさない場合という留保はつくが)一方で、行動しない場合の損失は無限なのだ。

行動しない場合の損失とは逸失利益のことである。仮に行動した場合に得られるはずであった利益は行動しない限りは確定せず、いつまでも失われ続ける。

そのような理由から、明らかな失敗が予想されるケース以外の不確定な状況では「まぁ大丈夫だろう」という楽観側の判断で行動したほうが、結局は行動しないよりリスクが下がるのだ。

このあたりの詳細な理論については下記の書籍を参照されたい。

さて、ではポジティブな人もやる気が出ないのはなぜだろうか。

それはポジティブな人ほど「このままでも、なんとかなるだろう」という楽観的な判断に基づき適切な行動を起こす動機が生まれないからだ。

だが、なにもせずとも常に自分の思うように人生が転がっていくなどという都合の良い「引き寄せの法則」など、この世には存在しない。自分の望む未来を手に入れるためには、冷静な判断と覚悟、それなりの苦労が必要だ。

したがって、楽観的な観測に傾かない現実的である種ネガティブな予測に基づいて、しかしなんだかんだと最終的には達成できるはずだというポジティブな観測が、やる気を出すために必要となるのである。

やる気に関わらずやり始めるには、考える時間を減らすこと

さて、次はやる気の有無に関わらず行動をはじめて作業興奮にもっていくまでのテクニックだ。

脳はとにかく優秀で、やりたくないことをやらない理由を瞬時に考えてくれる。今日は雨が降っているから走るのはやめよう。ちょっと頭が痛いのでもう少し寝ていたほうが身体のためだ。いくらでも思い当たる節があるのではないだろうか。

そこで、脳が考えるスキを与えないことが、やる気の有無に関わらず行動するために有効だ。

if-thenプランニング

具体的なテクニックとしてはif-thenプランニングが挙げられる。

if-thenとはつまり、条件付のことである。

もし~~ならば~~する、という構文はプログラミング言語にも用いられる簡潔な文章構造であるが、それだけにシンプルで強力なメッセージとなる。

それを自分の脳に刻み込んでやれば良いのである。カレンダーに入力してアラームを出すのも良いし、手書きでスケジュールに組み込むのも良いかもしれない。

いずれにしろ、考えることなく機械的に条件が発生したら行動すると決めておくだけで、脳は「いつ」やるかということを考える手間を省くことができる。

他にも「どれくらい」「なにを」するのかというところまで決めておくのも有効だ。あらかじめ具体的に決めておけば、それだけ脳のつけ入るスキは減る。

やる気やモチベーションを出す具体的なテクニックについては、以下の書籍をオススメする。

非常に簡潔に重要なことだけが記されているので、一時間もあれば読了できる大変コストパフォーマンスの高い良書だ。

習慣化してしまえればシメたもの

しかし、実際にif-thenプランニングを採用してもはじめのうちは中々、条件反射のように行動を起こせるようにはならないのも事実。

歯磨きをするように習慣化できるまでには、それなりの苦労も必要なのだ。

一般的に何かを習慣化するには2習慣の継続が必要と言われている。しかし、これは実は正しくない。

なにかを習慣化するのに要する時間には個人差もあり、平均で60日は継続する必要があるとの研究結果があるのだ。

しかし、案ずることなかれ、必ずしも継続せずとも2,3日の間が空いたりしても習慣化には寄与するとも論文には掲載されている。断続的であっても良いから長い間続けていれば習慣化されると考えれば、小さな努力を積み重ねることもそれほど苦にならないのではないだろうか。

意志力は鍛えられない

さて、やる気の有無に関わらず行動できるようになるまでには60日程度の継続が必要なことは分かったとして、その継続が難しい場合は、行動の難易度を下げることから初めて見るといい。

人の意志の強さには個人差があり一日のうちで意思決定できる量は決まっているという説がある。そして、意志力は困難な意思決定を繰り返すことで筋肉のように鍛えられるとも。

これについては、僕は懐疑的な見方をしている。

困難な意思決定を繰り返すことで意志力そのものが強くなっているのではなく、同じような意思決定を繰り返すことで、機械的に意思決定をしているだけなのではないかと。

つまり、根本的な意志力は一定のままだが、なにかの行動を取る際のコストが少なくなっているのだと。

したがって、そもそも意志力の低い人がストレスの大きい意思決定を繰り返しても意志力は鍛えられないというのが僕の考え。

行動の必要コストを下げる

では、どうすればいいのかというと、より負荷の小さい意思決定にかかるコストを習慣化によってゼロにして、残りの意志力でやる気の出ない作業に立ち向かうことに集中すればいいのではないかと考えている。

具体的には、毎朝外を散歩するという目標があるが、どうしてもやる気が出なくて毎日布団の中でダラダラと惰眠を貪ってしまうというのであれば、まずは着替えてコーヒーを飲むというところまでを60日間繰り返して意思決定コストをゼロにしてしまうのだ。

そこから、コーヒーを飲み終わったけどじゃあどうしよう、気がすすまないけれど散歩に出ようかと悩めばいいのだ。

いきなり散歩を始めるよりも、よほど成功率が高くなる気がしないだろうか。

ちなみに、英語ではbaby stepという言葉がある。小さな一歩から始めようという意味である。千里の道も一歩からとも言えるだろうか。

まとめ。やる気が出ないときはやれることだけをやる。そこから習慣化して行動コストを下げる。

やりたくないことを無理やりにやっていくのは精神的にも消耗していく。それならばやれることだけをやればいいと自分を甘やかそう。その行動をなんのストレスもなくこなせるようになってから、次のステップに移ればいいのだ。

いきなり車の運転を覚えられた人なんかいない。まずは無意識にアクセルとブレーキを踏めるようになることだけを考えればいい。




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