『いい文章には型がある』吉岡友治 著。声の大きさと説得力は比例しない。




「言語は「赤である」と「赤でない」を組み合わせることでしか、「ちょっと変わった赤」を表現する術はない。」




『いい文章には型がある』吉岡友治 著。声の大きさと説得力は比例しない。

文章の書き方ではなく、文章構成の仕方に関する書籍。
文章を大きく「主張型、ストーリー型、直感型」の3つにカテゴライズして、それぞれの持つ要素を構成方法について詳しく説明される。

それぞれの文章の目的が違うのだから、構成方法も異なるし、使うべき言葉や表現も異なってくる。
たとえば、明確なメッセージを伝えるべき主張型文章では「そして」「また」などの曖昧性を含む接続詞は使用を控えるべきである。

それに対して、何がどうなったのかを伝える物語型文章では、時間的推移が重要な要素となるため「そして」が多用されることが許容される。
それどころか接続詞そのものの必要性も低い。

本書はあくまで文章に関してのみ言及されているものである。
ただ、読んでいる最中にしきりに思い出されたのが、無意味で生産性の低い会議のことだ

いったいこの会議は何をどこまで決めるものなのか、議論の素材となっている要素は事実なのか仮定なのか。
誰も何も分かっていないままの空中戦。
会議終了後も何が決まったのか覚束ない。

リアルタイムのやりとりを必要としない一方通行の文章作成でさえ、フレームを意識しなければ自分自身なにを伝えたいのか見失わずに構成することが難しい。
それをいきなり会議で実践しようというのが土台無理な話で、まずは汎用的な思考法から慣れていく必要があるだろう。

とかく組織においては、声の大きい者の主張がとおりやすい。
しかし文章においてフォントを大きくすれば説得力が上がるというわけではない、と本書に記されている。

しかし、そうだろうか。スカスカな内容を、むやみやたらとボールドで強調して、説得力あふれるメッセージを装う文章が巷に溢れていないだろうか。
どこが重要なのか一読して分かるのは親切心からだとは思うが、俺個人としては、それに作為的なものを感じて、内容への信頼度が下がってしまう。




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