『残酷すぎる成功法則』エリック・バーカー著。月に吠えても自分の影は釘付けにはできない。




「マネーロンダリング」の橘玲が共著となっていたため読んでみた。
他には「雨の降る日曜は幸福について考えよう」「永遠の旅行者」「タックスヘイブン」を読んだことがあるが、どれも面白かったので安心して読み進めたが、結果として信頼は裏切られず、とても良い本だった。




『残酷すぎる成功法則』エリック・バーカー著。月に吠えても自分の影は釘付けにはできない。

キャッチ―過ぎるタイトルに釣られそうだが、内容は巷に溢れている成功法則をハーバードビジネスレビューはじめ、各種研究結果を用いて検証していくというもの。
その検証方法もいわゆるプロコン方式で行われているため中立的で公正な検証がされているように思える。

エビデンスとして示されるものの原典を自ら確かめる気にもならず、鵜呑みにしてよいかはさておき、説得力は高い。
(ちなみにブレインプログラミングは部分的に否定されている)

事例は、やはり翻訳本の特徴どおり多くページ数もかなり割かれているが、本書の事例は退屈することなく読み進めることができた。
柳龍拳やアメリカ国皇帝など、登場するたびについページを捲る手をとめて検索してしまうような魅力的な事例が多かった。

グリットを検証する際に登場したヴィクトール・フランクルの件は途中で「夜と霧」のことと思い当たった。
あらためて読み返してみるとまた違った読み方ができるのではないかと、次の本の案内人ともなった。

マーカーを引く箇所が多すぎて言及できないが、ダニング・クルーガー効果については他者にも自己にも思い当たるところが多く、今後気を付けていかなければと思った。

ちなみに本書の原題は「Barking up the wrong tree」=「間違った木に吠える」=「見当違い」という。
月に吠えても自分の影は釘付けにできないということか。




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