書評の書き方




書評を書いてみたいけれど、どうやって書いたらいいのか分からないという人向けに僕なりの書評の書き方をタイプ別に紹介します。




書評の書き方

書評とはなにか

まずは書評の辞書的な意味をおさえておきましょう。

書評……主に新刊の書物の内容を紹介・批評すること。また、その文章。

出典元:三省堂大辞林

「書物の内容を紹介・批評すること」なので本の内容を「紹介」あるいは「考察」していれば書評ということになりそうです。

書評の書き方(あらすじ紹介タイプ)

自分の読んだ本のあらすじをざっくりと説明していくタイプの書評の書き方です。

本を読んだ直後に、内容を思い出しながら自分の言葉で短くまとめるだけのもので、これだけではただの要約なので、そこに少しだけ自分の感想を足すと簡単な書評の完成です。

正直に言って、僕自身はこの手の書評はあまり読みたいと思えません。むしろ本のネタバレになるので、目にしたくもありません。

最低限、物語の核心となる部分だけは伏せておきましょう。

あらすじ紹介タイプの書評例はこちらです↓

あまりにもリアルで救いのない状況が、著者特有のドキュメンタリーのような精密な筆致でつづられていく。 親の認知症、離婚、退職、介護・・・そこにはエピファニーも奇跡も現れない。ただただ息の詰まるようなうんざりする現実がありのまま描かれる。

書評の書き方(読書感想文タイプ)

あらすじにはあまり触れずに、本を読んで自分が感じたことをただつらつらと述べていくタイプです。

感情の動きが文章に表れるので、このタイプの書評は自分もそのような感情の動きを感じることができるのではないかと興味を惹かれることが多く、僕はこのタイプの書評は好きです。

読書感想文タイプの書評例↓

やりたいことがあるならば、まずは書き出してみることだ。 そうすれば、不思議と願望は叶う。 なんてことは書いていない。 そこらへんに転がっている、耳に心地よい言葉で綴られた自己啓発書みたいなヌルイ内容を期待して本書を手に取ると、安酒のように混沌とした読み心地に悪酔いしてしまうだろう。

このタイプの書き方はほとんどフリースタイルですが、やや読者を煽るような感情的で過激めの表現を心がけています。

書評の書き方(考察タイプ)

あらすじや本の内容というよりは、本に触発されて自分で考えた何かを表現するタイプです。

この手の書評を書く場合には、本を読んでいるときから発想をメモしておいて、後でそれについてあらためて考えて、なにかをひねり出します。

本で知識を得るという以上に、本をきっかけに自分で何かを考えだせる非常に楽しい作業です。

ポイントは、読む前になんらかの目的や仮説を立てておくことです。なんの準備もなく読むだけでは知識を得るだけになってしまいます。

考えるという行為は何かの軸がなければできないので、仮初でもよいので軸を用意しておきましょう。

考察タイプの書評例↓

現代人の身体と心は石器時代から進化していない。 この言葉をどこかで聞いたことがある人は、この記事を閉じてもらっても構わない。

書評の書き方(ハイブリッドタイプ)

あらすじを紹介しつつ、要所要所で自分の所見も入れていくもので、書評としてもっとも標準的なタイプです。

すべてのあらすじを紹介するのではなく、自分の述べたいことを述べるきっかけとして本の内容を引用したり言及したりします。

本の内容を理解してさらに自分で何かを考える必要があるので、本当にその本をよく読まなければ書けないタイプの書評です。

ハイブリッドタイプの書評例↓

本書の内容はScrapboxと呼ばれるツールの使い方を説明した技術書もしくは簡易マニュアルといったもの。ところが、本筋の前提として言及される情報についての考え方がとても深く学びになる良書。

書評の書き方まとめ

僕が意識している書評の書き方を紹介しましたが、これはおそらくウェブライターとしては不正解の書評の書き方です。

よく「読み手の立場になって書くことが大事」という言葉を目にしますが、僕自身は文字を読むことに苦痛を感じないので、「読みやすい」と評判の文章を読むと、たいていの場合は「中身のないスカスカな文章だな」という感想を覚えてしまいます。

自分は「書きたい」のか「読んでもらいたい」のかで、書くべき文章は変わるというのはある程度は仕方がないことと割り切っているものの、いつかは「書きたいもの」が「読まれる」という幸せな状況になりたいものです。




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