『顧客を説得する7つの秘密』ジェームズ・C・クリミンス著。どうしようもなく回避的で怠惰な無意識。







『顧客を説得する7つの秘密』ジェームズ・C・クリミンス著。どうしようもなく回避的で怠惰な無意識。

「なぜ選ばれるのか」を解き明かす最先端ニューロマーケティングの教科書

まずは用語の解説。

ニューロマーケティングとは脳科学や神経科学を活用したマーケティング手法のこと。
人間は意識(理性)ではなく無意識(感情や本能)により多く支配されて行動を決定しているという知見に基づく。

一章では、他人にこちらが望む行動をとってもらいたいのならば、その人の「考え」ではなく「行動」を変えよ、と説く。
心理学で広く知られている「認知的不協和」によって、自分のとった行動に矛盾が生じないように、考えを変えることが必要になるからだ。

すでにとってしまった行動は変えることができない事実だが、自らの考えや信念を様々な理屈や欺瞞を駆使して変えることは、実は容易い。
そのくらいには人間は賢い。

そして二章以下では、無意識の性質を利用して、他人の行動をいかにコントロールするかの具体的な手法が説かれる。

無意識は、考えることができない。
動物としての本能にしたがって、より安全で快適でそして馴染みの深いものを「自動的」に選択する傾向がある。

だから、考える余裕を与えずに、相手の欲求に即した馴染み深いもの(行動)を選択肢として提供することで、こちらの望みどおりに操ることができる。
ただ、そのためには相手をよく観察して、その心の深いところにある欲求を正しく把握することが重要。

次々に出てくるテクニックは、ザイオンス効果やツァイガルニク効果、フット・イン・ザ・ドア・テクニックなどそれこそ耳に馴染んでいるものばかり。
もしかして、読んでいるこちらがコントロールされているのでは、と疑いを持ってしまいそうになるが、それを補強するかのように具体的な学説や事例などが間あいだに挟み込まれる。

まとめ

ニューロマーケティングがいかなるものかを知るためには有用。
ただ、翻訳された実用書に多いのだが無駄に事例が多い。

だいたいが既に知っていた知識やテクニックに関する事例だったので、そこはほぼ読み飛ばした。
実は本書を読んだのは、広告宣伝に関する勉強のためだけというよりは、異性にモテる方法として応用できるのではという邪(ではなく純粋)な欲求も目的のひとつ。

できる営業マンは当たり前にモテるのでどこか共通項でもあるのかと考えたからだ。
実際に読んでみて思ったが、やはり恋愛は自分を商品として人様に売るという営業活動だ。

そしてニューロマーケティングとはつまり、催眠術をそれっぽく言い換えているだけなのかとも思った。

ひとの無意識は、どうしようもなく回避的で怠惰だ。




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